経営学用語を検索!
企業価値算定のためのDCF法についてわかりやすく説明しましょう 長年興銀マンとして投資銀行業務とりわけプロジェクトファイナンスを担当しておりましたがキャッシュフローが何よりも重要だと痛感しています。不動産の評価でも役立ちます。dcf法は一見難しそうですがエクセルを使えば誰でも計算できますので安心してください。
手順としては以下の順番に行うだけです!
- 将来(5年程度)のフリーキャッシュフローを予測
(楽観・ベース・悲観シナリオ)
- 割引率となるWACCを算出
- フリーキャッシュフローをWACCで割引き企業価値を算出
それでは早速はじめましょう!
まず、企業は通常金融機関からの融資や社債権者から社債という負債(Debt デットと呼びます)と、株主からの増資や資本金などの自己資本で資金を調達します。
企業は、それらの調達した資金を事業に投資することで利益を生み出し、負債の金利や元本を債権者に支払いまたは返済し、株主には配当の支払いや株価を上昇させ、利益を生み出さなければなりません。
貸借対照表のバランスシート上の右側(貸方)は資金の調達を示しており、左側(借方)はその運用先を示しています。そして企業価値は債権者価値と株主価値に分けることができます。
つまり 企業価値=債権者価値+株主価値 です。
そうすると、株主価値を発行済み株式総数で割ることによって、一株あたりの理論的な株価が計算できます。
DCF法では事業で生み出す将来キャッシュフローを基に企業価値を算定しますが、企業には余剰現金やゴルフ会員権など事業の収益を生み出すもの以外の価値もあります。
つまり企業価値を算定する際には事業価値をまず算定した上でそうした非事業資産価値を加える必要があります。
つまり 企業価値=事業価値+非事業価値 です。
企業価値の算定方法
企業価値を算定するためにはキャッシュフローの予測数値を5年分作成したあとにそれらを現在価値に割り引きます
株主や債権者は経営者がうまく経営することで彼らが銀行預金などに資金を振り向けるよりももっと儲かると期待しているのです。これが期待収益率と言われるものです
では実際には期待収益率はどう算定されるのでしょうか?
答えは、「期待収益率はCAPM(キャップエム)という理論に基づいて計算される加重平均資本コスト(WACC ワック)」になります
WACCとは負債資本コストと株主資本コストを有利子負債と株主資本の比率で加重平均したものです。
ちょっと難しく思えてしまいますが要は「株主と債権者が期待する収益率」を株主資本の金額と借入などの負債金額の比率で加重平均する、ということです。
したがって借入が無い企業であれば株主の期待収益率と同じになります。
そして
予測したフリー・キャッシュフローをWACCで割り引いて企業価値を算定する、という流れになります。
フリーキャッシュフローとは「企業への資金提供者である債権者(銀行や社債権者)と株主に、自由に分配することができるキャッシュフロー」のこと
フリーキャッシュフローの計算方法は、事業から生み出された営業利益から税金を控除した後の 税引後営業利益をベースに計算します。また損益計算書における数値と実際のキャッシュフローの数字は異なるのでいくつか修正を行う必要があります
キャッシュフローは5年程度予測すると言いましたがそれ以降6年目以降に生み出されるキャッシュフローの価値をターミナル・バリュー(継続価値)といいます。
ターミナル・バリュー(継続価値)の考え方はいくつかあります。
もっとも簡単な方法は、予測期間(通常5年)が終了したあと一定の成長率(永久成長率)でキャッシュフローが成長するとみなして計算する方法です。
この方法では、ターミナル・バリューの金額を、予測最終年度(5年目)の翌年(6年目)のフリー・キャッシュフローを、(割引率 – 永久成長率)で割ることによって求めます。
CAPM(キャップエム)理論はノーベル章も受賞したW.シャープ博士他によって発表された資産の期待収益率(WACCワック)の算出モデルです。
WACCとは負債資本コストと株主資本コストを有利子負債と株主資本の比率で加重平均したものです。
期待収益率とか割引率とか色々な名称がありますがすべて同じことです。そして企業はこの調達コストを上回る事業へ投資することが求められるというわけです
リスクフリーレートとは、無リスクで運用できる場合の利回りのことで、通常は国が発行する国債の利回りを使用します。日本では「10年もの国債」の利回りを使うのが一般的です。
リスクプレミアムとは、市場全体の期待収益率を表すもので、通常過去のデータから求めます。株主は株価変動リスクを負うので、リスクフリーレートより高い利回りを期待しますがその上乗せ分をマーケットリスクプレミアムと呼びます。
日本ではTOPICSの値動きを市場全体の値動きとみなしてその過去の実績値がリスクフリーレート(期間10年物国債)とどのくらい乖離しているかを、マーケットリスクプレミアムとしている場合が多いでしょう。
またβ(ベータ)とは市場全体の動きに対する個別株式の動きを表す係数のことで企業ごとのリスクを表わします。
すなわちベータ値とは、株式市場全体と個別株式の感応度のことです。例えばベータ値が1.4ならば、市場全体が10%上昇すれば株式の株価は14%上昇し、市場が20%下落すれば28%下落することを意味します。
DCFで求めた事業価値に 非事業価値(ゴルフ会員権など事業に直接関係しないもの)を加えて 負債を引いた価値 それを株式数で割れば 一株当たりの理論株価 が算出できます
動画で完全マスターできます!★カール経営塾動画★
企業価値を上げるためのファイナンス~戦略的ファイナンス 企業価値評価の理論と実践動画講座
こちらの記事もぜひご覧ください
【決定版】5分でわかるM&A・事業承継・LBO・MBO・TOB
更に学びたい方は⇒平野 敦士 カールの著書
をご覧ください!
カール教授のビジネス集中講義(4) 金融・ファイナンス
一部訂正がございました
-
経営学用語
- AIサーバー GPUサーバー
- AI半導体AIアクセラレーター、ファウンドリー
- AI開発プラットフォーム
- GPU(画像処理半導体 Graphics processing unit)
- RAG (Retrieval Augmented Generation、検索拡張生成)
- インスタンス
- クラウドコンピューティング
- システムインテグレーター (Sler)
- シンギュラリティ (singularity)
- スケーリング則(Scaling Laws for Neural Language Models)
- ディープフェイク Deep Fake
- トランスフォーマー
- ファインチューニング
- マネージドサービス
- マルチモーダル
- 動画生成AI「Dream Machine」
- 大規模言語モデル (LLM) パラメーター数
- 生成AI
- EBITとEBITDAの違い
- NFT(Non-Fungible Token 非代替性トークン)
- SPAC スパック Special Purpose Acquisition Company 特別買収目的会社
- 「銀行業高度化等会社」とは
- 【決定版】企業価値算定DCF法CAPM ベータ値WACCとは
- オプション取引 コールオプション&プットオプション Option
- オープンAPI Open API
- キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)とは
- スワップ取引とは SwapTransaction
- テーパリング Tapering
- デリバティブとは derivative
- ハードフォークとソフトフォーク(暗号資産 仮想通貨)
- バリュー・アット・リスク Value at Risk(VaR)
- ビットコインとブロックチェーン Bitcoin&Block chain
- フィンテックベンチャー
- ブラック・ショールズ・モデル B&S Model
- リアル・オプション real option
- 一株当たり純資産とは Book-value Per Share(BPS)
- 会社のねだんの決め方~企業価値算定3つの方法 Valuation
- 会計とファイナンスの違い Accounting&Finance
- 債券とは 格付けとは
- 先渡取引とは Forward transactions
- 固定比率とは Fixed ratio
- 固定長期適合率とは fixed long term conformity rate
- 売上高営業利益率とは Operating Profit Ratio
- 売上高売上総利益率とは
- 売上高経常利益率とは ordinary profit ratio
- 当座比率とは Quick assets ratio
- 投下資本利益率(ROI)とは Return on investment
- 投資銀行(Investment Bank)&証券化
- 株主資本比率(自己資本比率)とは Capital ratio, Equity ratio
- 株価収益率(PER)とは Price Earnings Ratio
- 株価純資産倍率(PBR)とは Price Book-value Ratio
- 流動比率とは Current Ratio
- 現在価値とは何か? What is Present Value?
- 総資本回転率とは total asset turnover
- 総資産利益率(ROA)とは Return on assets
- 負債比率とは Debt Equity Ratio
- 財務諸表とは?BS PL CS
- 責任銀行原則 Principles for Responsible Banking
- 資本(自己資本)利益率(ROE)とは Return on Equity
- 配当性向とは Payout Ratio
- 金融工学とは financial engineering
- 銀行の機能とは? 金融仲介・信用創造・決済機能
- 1株当たり純利益とはEarnings per Share(EPS)
- 3つのコーポレート・ファイナンス Corporate Finance
- Alexa Rank(順位)
- DaaS Device-as-a-Subscription
- DSP SSP RBT DMP
- KGI KSF KPIの設定
- LPO Landing Page Optimization
- PASONA(パソナ)の法則 Problem Agitation Solution Narrow down Action
- RFM分析 recency, frequency, monetary analysis
- ROS/RMS分析 ROS/RMS Analysis
- SEOとSEMの違い Search Engine Optimization Search Engine Marketing
- 【まとめ】インターネット広告における主な指標 advertisement indicator
- アトリビューション分析 attribution analysis
- アドネットワーク advertising network
- アドベリフィケーション Ad-verification
- アンバサダー、アドボケイツ、インフルエンサー Ambassador Advocates Influencer
- インターナルマーケティング7つの方法 Internal Marketing
- インバウンドマーケティング inbound marketing
- エスノグラフィ(行動観察法)ethnography
- ゲリラ・マーケティング Guerrilla marketing
- ゲーミフィケーション Gamification
- コトラーの「純顧客価値」とは Net Customer Value
- コトラーの競争地位別戦略 Kotler’s Competitive Position Strategy
- コピーライティング Copywriting PREP法
- コーズ・リレイテッド・マーケティング Cause-related marketing
- サービスマーケティング service marketing
- サービス・ドミナント・ロジック Service Dominant Logic
- サービス・プロフィット・チェーン Service Profit Chain
- サービス・マーケティングの7P Service marketing7P
- ショウルーミング Webルーミング showrooming
- ソーシャルグラフ social graph
- ソーシャルリスニング・傾聴 Social Listening
- ソーシャル戦略 Social Platform Strategy
- ダイレクト・マーケティング Direct Marketing
- トリプルメディア Triple Media
- ネイティブ広告 Native advertising
- ハルシネーション ハルシネイション Hallucination
- ハワード=シェス・モデル Howard & Sheth model
- バートルテスト Bartle Test
- プログラマティック・バイイング programmatic buying
- プロダクト・プレイスメント Product Placement
- ペルソナ(persona)
- ホリスティック・マーケティング Holistic Marketing
- マズローの欲求5段階説
- マーケットシェア&マインドシェア ポジショニング戦略 positioning strategy
- マーケティングとは What is Marketing?
- マーケティングの本質とは Essence of Marketing
- マーケティングの起源 Origin of marketing
- マーケティング戦略策定プロセスの全体像 Marketing Strategy
- マーケティング戦略4P(マーケティング・ミックスMM) Product Price Place Promotion
- ラテラル・マーケティング Lateral Marketing
- リスティング広告 検索エンジン連動型広告 PPC広告 Paid Listing
- 多変量解析 multivariate statistics
- 定量分析手法多変量解析ROSRMS
- 期待不確認モデル expectation disconfirmation model
- 炎上マーケティング flaming marketing
- 経験価値マーケティング Experiential Marketing
- 行動ターゲティング広告とリターゲティング BTA behavioral targeting advertising,retargeting advertising
- 製品ライフサイクル Product life cycle
- 顧客生涯価値(ライフタイムバリュー)LTV(Life time Value)
- DAGMAR理論 DAGMAR Theory
- SERVQUAL(サーブクオル)モデル
- BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)
- DellのBTO Build To Order
- EVA Economic Value Added
- MECE(ミッシー)
- PDCA &BSC&OODA
- PEST分析 ペスト分析
- SDGsとは?
- SMART Specific、Measurable、Achievable、Related、Time-bound
- SWOT分析とクロスSWOT分析
- VRIO分析
- ★BCGのアドバンテージマトリックス Boston Consulting Group's Advantage Matrix
- ★マッキンゼーの7Sフレームワーク McKinsey 7S framework
- 「帰納法」Inductive Approachと「演繹法」Deductive Approach
- 【コア・コンピタンス】とは 模倣可能性・移転可能性・代替可能性・希少性・耐久性
- アンゾフの製品市場マトリクス(マトリックス)成長ベクトルProduct-Market Growth Matrix
- イノベーター理論とキャズム Innovation Theory & Chasm
- エフェクチュエーション(effectuation)&コーゼーション(causation)
- コーペティション経営 Co-opetition Strategy
- サンクコスト(埋没費用)バイアス
- シナリオプランニング Scenario planning
- タイムベース競争戦略 time-based competition
- デコンストラクション deconstruction
- デザイン思考 design thinking
- デジタル・フォレンジック Digital forensics
- デジュリスタンダード&デファクトスタンダード 2つの標準化(対義語) 具体例
- ネット・プロモーター経営(NPS)Net Promoter Score
- ハインリッヒの法則 Heinrich's law
- ピラミッドストラクチャー(構造化)
- フリー戦略
- フレームワークとは Framework
- ブルー・オーシャン戦略 Blue Ocean Strategy
- ポーターのCSV Creating Shared Value
- ポーターのバリューチェーン(価値連鎖)分析
- ポーターのファイブフォース分析 Porter five forces analysis
- ポーターの3つの基本戦略 Porter’s three generic strategies~ lower cost, differentiated focus
- ランチェスター戦略 弱者の戦略
- リバース・イノベーション Reverse Innovation
- 仮説思考 hypothesis thinking
- 全社戦略・事業戦略・機能別戦略 Corporate Strategy Business Strategy Functional Strategy
- 新商品や新サービスを作り出す15の発想法
- 暗黙知と形式知(SECIモデル)
- 破壊的イノベーション Disruptive innovation
- 魚は頭から腐る
- 3C分析(Customer, Competitor,Company )