ゼンショーホールディングスは、「すき家」を中心に急速な成長を遂げ、日本最大の外食企業へと発展しました。売り上げも1兆円に迫ります。先日生まれて初めて回転寿司に行きました。とても安くておいしかったです!東伊豆の回転寿司「はま寿司」に行ったのですが、その最先端のシステムに感動しましてどこの会社が運営しているのだろうと思ったらゼンショーさんでした。永田町のすき家も行ったことがあったので調べてみました!!
創業と「すき家」の誕生
創業者の小川賢太郎氏(1948年7月29日生まれ、資産約3890億円)は東京都立新宿高等学校を卒業後東京大学に進学。東京大学在学中、全共闘運動に関わり中退。その後港湾労働に従事、通信教育で中小企業診断士の資格を取得、1978年に吉野家に入社。
ゼンショーホールディングスの歴史は1982年6月、神奈川県横浜市鶴見区での創業に始まります。当初は弁当屋として事業をスタートさせましたが、同年11月に「すき家」1号店をオープンし、牛丼チェーン事業に本格参入しました。
「すき家」という店名には2つの由来があります。1つは「すき焼き」から来ており、牛丼がすき焼き風の味付けであることと、横浜が創業の地であることにちなんでいます。もう1つは「好き家」という意味で、顧客に愛される店舗になりたいという願いが込められています
売上高利益の推移
売上高の推移
2020年3月期: 595,048百万円
2021年3月期: 595,048百万円
2022年3月期: 658,503百万円
2023年3月期: 779,964百万円
2024年3月期: 965,778百万円
2025年3月期(予想): 1,080,000百万円
売上高は着実に増加しており、特に2023年3月期から2024年3月期にかけて大幅な成長を見せています。2025年3月期の予想では、1兆円を超える売上高を見込んでいます。
利益の推移
営業利益
2021年3月期: 12,088百万円
2022年3月期: 9,232百万円
2023年3月期: 21,734百万円
2024年3月期: 53,707百万円
2025年3月期(予想): 62,500百万円
経常利益
2021年3月期: 12,215百万円
2022年3月期: 23,117百万円
2023年3月期: 28,081百万円
2024年3月期: 50,913百万円
2025年3月期(予想): 61,500百万円
純利益(最終利益)
2021年3月期: 2,259百万円
2022年3月期: 13,869百万円
2023年3月期: 13,265百万円
2024年3月期: 30,693百万円
2025年3月期(予想): 37,000百万円
利益面では、2022年3月期に一時的な落ち込みがあったものの、その後急速に回復し、特に2024年3月期には大幅な増益を達成しています。2025年3月期の予想では、さらなる増益が見込まれています。
注目ポイント
売上高は5年連続で増加しており、特に直近2年間で大幅な成長を遂げています。
利益面では、2024年3月期に営業利益、経常利益、純利益のいずれも大幅な増加を記録しました。
2025年3月期の予想では、売上高が1兆円を超え、利益も引き続き増加する見通しとなっています。
特に2024年3月期の業績が好調で、売上高、経常利益、最終利益のいずれも過去最高を更新しています。
これらの数字から、ゼンショーホールディングスは近年、売上高と利益の両面で着実な成長を遂げていることがわかります。
急速な成長の要因
1. マス・マーチャンダイジング・システム(MMD)の構築
ゼンショーグループの躍進の原動力となったのが、独自のMMDシステムです。これは原材料の調達から製造・加工、物流、店舗での販売までを一貫して企画・設計、運営するシステムです。このシステムにより、以下のような利点が生まれました:
- コスト削減と品質管理の徹底
- 効率的な供給チェーンの確立
- 迅速な意思決定と戦略実行
2. 積極的な店舗展開
「すき家」は急速に店舗数を拡大し、現在では国内約2,000店舗、海外667店舗を展開しています。この積極的な出店戦略により、ブランド認知度の向上と市場シェアの拡大を実現しました。
3. M&Aによる事業拡大
ゼンショーは2000年以降、M&Aを積極的に活用して事業を拡大してきました。これにより、「すき家」以外にも「ココス」「なか卯」「華屋与兵衛」「はま寿司」などの多様な外食ブランドを傘下に収め、事業ポートフォリオを拡充しました。
主要外食ブランド
ココス: ファミリーレストランチェーン
なか卯: 和風ファストフードチェーン(親子丼、うどんが人気)
華屋与兵衛: 和食レストランチェーン
ビッグボーイ: ハンバーグ・ステーキレストランチェーン
はま寿司: 回転寿司チェーン
その他のブランド
エルトリート: メキシカン料理レストラン
久兵衛屋: そば・天ぷらチェーン
フレッシュネスバーガー: ハンバーガーチェーン
ジョリーパスタ: パスタ専門店チェーン
4. 明確な企業理念と使命
ゼンショーホールディングスは「世界から飢餓と貧困を撲滅する」という壮大な企業理念を掲げています。この理念のもと、以下の使命を定めています:
- 世界中の人々に安全でおいしい食を手軽な価格で提供する
- 消費者の立場に立ち、安全性と品質にすべての責任を負う
- 食に関わる全プロセスを自ら企画・設計し、全地球規模の卓越したMMDシステムを構築・運営する
この明確な理念と使命が、従業員のモチベーション向上や戦略の一貫性につながっています。
5. 価格競争力と商品開発
「すき家」は常に手頃な価格で品質の高い商品を提供することにこだわってきました。また、定番メニューの改良や新商品の開発にも積極的で、顧客ニーズに応える努力を続けています。
6. 海外展開
ゼンショーグループは日本国内だけでなく、積極的に海外展開も進めています。「すき家」の海外667店舗をはじめ、各国の食文化や嗜好に合わせたメニュー開発や店舗運営を行い、グローバルな成長を実現しています。
課題と今後の展望
ゼンショーホールディングスの躍進は目覚ましいものがありますが、同時にいくつかの課題も抱えています。
1. 労働環境の改善
2015年には「すき家」の労働環境改善が大きな課題となりました。これに対し、ゼンショーホールディングスは「職場環境改善促進委員会」を設置し、第三者の視点を交えて改善に取り組みました。今後も継続的な労働環境の改善が求められます。
2. 財務体質の強化
積極的なM&Aや店舗展開により、負債比率が高くなる傾向がありました。2021年には9年ぶりの増資を実施し、財務体質の改善を図っています。今後も持続可能な成長のために、財務戦略の最適化が必要です。
3. 競合との差別化
牛丼チェーン業界は競争が激しく、他社との差別化が課題となっています。例えば、外食業界では「借金戦略」による成長が注目されており、「すき家」とスシローの競争が話題となっています。独自の強みを活かした戦略の構築が求められます。
4. 環境への配慮
持続可能な社会の実現に向けて、食品ロスの削減や環境に配慮した包装材の使用など、環境負荷の低減に向けた取り組みが今後さらに重要になるでしょう。
5. デジタル化への対応
コロナ禍を経て、デリバリーサービスやモバイルオーダーの需要が高まっています。これらのデジタル技術を活用したサービス拡充や、顧客データの分析による戦略立案など、デジタル化への対応が今後の成長のカギとなります。
結論
ゼンショーホールディングスの躍進は、独自のMMDシステム、積極的な店舗展開とM&A戦略、明確な企業理念、そして「すき家」を中心とした強力なブランド力によって支えられてきました。今後は、これらの強みを活かしつつ、労働環境の改善や財務体質の強化、環境への配慮、デジタル化への対応など、新たな課題にも取り組んでいく必要があります。
「世界から飢餓と貧困を撲滅する」という壮大な理念のもと、ゼンショーホールディングスは日本を代表する外食企業としてさらなる成長を目指しています。グローバル展開を進めながら、持続可能な事業モデルを構築し、食を通じて社会に貢献し続けることが、今後の躍進の鍵となるでしょう。
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