新商品・新サービス、ビジネスモデルを生み出す15の発想法 abduction 15 ways of business model thinking
新規事業を生み出すビジネスモデル構築7Stepsでは、アナロジー思考をベースにしますが、新商品や新サービス、を生み出しビジネスモデルを考える際に発想を助けるフレームワークとして以下の15の発想法も有効です。
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水平思考
イギリスのエドワード・デ・ボノが提唱した発想法です。
ロジカルシンキングのような既成の枠組みに従って考えること(垂直思考)から離れ、さまざまな角度から自由に思考をめぐらせることで、新たな発想を導き出します。ロジカルシンキングでは誰もが同じような結論に至ってしまうため新しい発想が生まれにくいとの指摘があります。
『コトラーのマーケティング思考法』によれば、水平思考は、次の3つのステップで実行します。
1 フォーカスを選択する
フォーカスとは思考の対象として注目すべきのこと。そのフォーカスの特性を考えます。たとえば花なら「香りがいい」「色がきれい」「枯れる」などです。
2 水平移動により、ギャップ(=刺激)を誘発する
1で考えた特性を一つ選び出し、変化を加えます。
変化のさせ方には、「逆転」「代用」「結合」「強調」「除去」「並べ替え」の6つがあります。
たとえば、花の特徴である「枯れる」を「逆転」させると、「いつまでも枯れない」となります。フォーカスしたもの(花)とここで導き出したキーワード(いつまでも枯れない)には隔たりがあることから「ギャップ」と呼びます。
3 ギャップを埋める方法を考える(連結する)
たとえば「花」なら、「いつまでも枯れない」方法を考えるのです。すると、「枯れない花=造花」などの答えが出てくるわけです。
さらに「バレンタインデーに最愛の人にバラの花を送る」ことを、水平思考で考えてみると……
「逆転」→バレンタインデー以外の日にバラの花を贈る
「代用」→バレンタインデーにレモンを贈る
「結合」→バレンタインデーにバラの花と鉛筆を贈る
「強調」→バレンタインデーに何十本ものバラの花を贈る。もしくは1本だけ贈る(縮小方向の強調)
「除去」→バレンタインデーにバラの花を贈らない
「並べ替え」→バレンタインデーに、男性が女性にバラの花を贈る となります。
マトリクス思考
マトリクス思考とは、マトリックスを使ってキーワードを掛け合わせることで、新たな発想を生み出す方法です。
まずは、自分が手がけたいと考えているビジネスの本源的価値を見つけだすことから始めます。
本源的価値とは、そのビジネスがお客に対して与える究極的な価値のこと。「安心」「悩みの解消」「心地よい」「便利」「優越感」「楽しい」などがあげられます。
具体的には、そのビジネスのカテゴリーでヒットしているビジネスを書き出して、それらの本源的価値を抜き出してみましょう。
本源的価値を見つけ出したら、それらをマトリックスの縦軸に並べます。そして横軸には自分が作りたいビジネスを置きます。そしてその二つを掛け合わせるのです。
ブレインストーミング
大手広告会社の会長だったアレックス・オズボーンが考案。皆でテーマに沿って、ざっくばらんにアイデアを出しあうことで、新たな発想を生み出す方法です。ご存知の方も多いのではないでしょうか。
斬新な発想を生み出すポイントは、アイデアを広げること(発散)とまとめること(収束)を同時におこなわずに、別々におこなうこと。
そのためには、以下の4つのルールを守ることを改めて意識しましょう。
1 批判しない
他人のアイデアを批判すると、自由な発想が生まれにくくなります。
2 自由に発言する
「こんなことを言ったらバカだと思われるのでは?」などと自分で制限しないで、思いついたことをどんどん言いましょう。他のアイデアを生む助けになることがあります。
3.質より量を重視
できるだけ多くのアイデアを出すことで、良いアイデアが見つかりやすくなります。
4.連想と結合する
他人のアイデアから連想したり、他人のアイデアに自分のアイデアを加えるのもアリです。
アイデアは、皆が見られるよう、ホワイトボードなどに書き込んでいきます。十分に出し尽くしたら(発散しきったら)、アイデアをまとめていきましょう。
KJ法
文化人類学者の川喜多二郎氏が開発した、アイデア発想法。名前のイニシャルからこの名前がつきました。
小さなカードを使い、以下の手順でおこないます。ブレインストーミングなどで得られた発想を整理する「収束」の段階で役立ちます。
1 テーマに関するアイデアをカードに書き出し、テーブルに並べる
2 似た内容のカードを集めて、グループをつくり、それぞれにタイトルをつける
3 さらにそのグループを比べて、似たもの同士をまとめて、タイトルをつける。グループは、10グループ以内に収める
4 3でまとめたカードのグループを、関係性のあるグループが近くに来るように、並べ替える
5 グループ内でカードを分けて配置し、グループ同士と小さなカード同士の関係性を線や記号を使って示す
6 どのグループが最も重要か、順位をつける
以上の手順を踏むことで、収束ができます。
注意したいのは、トガッたアイデアを強引にグループ分けすると埋もれてしまうこと。ムリにグループに入れないようにしましょう。
NM法
創造工学研究所の中山正和が開発したアイデア発想法です。次の手順でおこないます。
1.課題に関するキーワードを決める
その課題の本質をよく表し、連想しやすい言葉を設定します。動詞や形容詞が良いでしょう。たとえば、飲食店のビジネスモデルなら「食べる」「くつろぐ」などが考えられます。
2.キーワードから似たものを連想する
たとえば、「食べる」なら、朝食、食卓、消化、「くつろぐ」ならホテルや温泉、自宅などが考えられます。
3.2で連想した言葉の背景にある要素や構造、働きを考える
たとえば、朝食・食卓・消化からは、和食、バイキング、調味料、胃薬などが考えられます。ホテル・温泉・自宅からは、寝る、ルームサービス、あたたまる、楽な服装などが考えられるでしょう。
4.3で出てきた言葉を課題に照らしあわせて、アイデアを発想する
飲食店と、「調味料」「胃薬」「楽な服装」などと組み合わせていくと、「調味料が100種類用意されたレストラン」「胃薬常備」「着替えの用意された店」などが考えられます。
オズボーンのチェックリスト
「ブレインストーミング」を生んだオズボーンが開発した発想法です。自分が抱えているテーマについて、次のチェックリストに答えていくことで、アイデアを生み出します。この問いをさらに細かくしたSCAMPER(スキャンパー)法もあります。
1 他に使い道はないか?
2 応用できないか?
3.変更したらどうか(色や形、音、様式など)?
4.拡大できないか?
5.縮小・削除できないか?
6.代用できないか?
7.アレンジしなおしたらどうか?
8.逆転させてみたらどうか?
9.結合してみたらどうか?
マンダラート
デザイナーの今泉浩晃が開発した発想法。3×3のマトリックスを使って、発想します。手順は次のとおりです。
1 3×3のマトリックスの真ん中にテーマを記入する
2 真ん中のテーマから思いついたことを、まわりの8マスに記入する
3 8つのマスに書いたキーワードの中から、一つ抜き出し、新たな3×3のマトリックスの真ん中に記入する
4 2と3を繰り返して、多くのアイデアを生み出す
トヨタの5回の「なぜ」
「5回のなぜ」とは、トヨタ自動車の大野耐一が著書『トヨタ生産方式』で語った、トヨタ自動車の問題解決法のこと。何か問題が起きた時に、「なぜ」→「なぜならこうだから」を5回繰り返すことで、真の原因を突き止めます。
ビジネスモデルを考える時でも、顧客のニーズについてなぜを繰り返すことで、真のニーズがつかめ、ビジネスモデル発想のヒントが得られるでしょう。
TRIZ(トゥリーズ)法
旧ソ連海軍のゲンリッヒ・アルトシュラーが中心になって開発した発想法です。彼と同僚たちは、膨大な特許データを分析して、次の40の発想の法則を導き出しました。ビジネスモデルを考える時にも、活用できるはずです。
1.分割したらどうか?
2.分離したらどうか?
3.一部を変更したらどうか?
4.非対称にしたらどうか?
5.2つ以上を組み合わせたらどうか?
6.他でも使えるようにしたらどうか?
7.中に入れたらどうか?
8.バランスをよくしたらどうか?
9.先に反動をつけたらどうか?
10.先に予想したらどうか?
11.重要なところを保護したらどうか?
12.同じ高さにしたらどうか?
13.逆にしたらどうか?
14.回転させたらどうか?
15.環境に合わせたらどうか?
16.おおざっぱにしたらどうか?
17.垂直方向を使ったらどうか?
18.振動を与えたらどうか?
19.繰り返しにしたらどうか?
20.継続的に続けたらどうか?
21.高速で実行したらどうか?
22.マイナス点からプラスを引き出したらどうか?
23.基準値に戻したらどうか?
24.仲介したらどうか?
25.他人にやってもらってはどうか?
26.コピーしたらどうか?
27.安くてすぐダメになるものを作ったらどうか?
28.別のシステムを使ったらどうか?
29.流体にしたらどうか?
30.薄い膜を利用したらどうか?
31.スキマを利用したらどうか?
32.色を変えたらどうか?
33.質を統一したらどうか?
34.排除したらどうか?再生させたらどうか?
35.形や条件を変更したらどうか?
36.形状を変更したらどうか?
37.熱を加えてふくらませたらどうか?
38.濃度を濃くしたらどうか?
39.反応しないものを入れたらどうか?
40.違う質のものを合わせたらどうか?
シックス・ハット法
シックス・ハット法とは、水平思考を提唱したエドワード・デ・ボノ氏によって考案された発想法です。次の6つの帽子のうち、いずれかの帽子をかぶった、という意識で、発想します。
・白い帽子…客観的・中立的な視点
・赤い帽子…感情的な視点
・黒い帽子…批判的・消極的な視点
・青い帽子…分析的・冷静な視点
・黄色い帽子…積極的・希望的な視点
・緑の帽子…革新的・創造的な視点
人は誰でも何らかの思考に偏りがちです。「異なるハット(帽子)をかぶる」というちょっとした儀式をすることで、視点を変え、新たな発想を生み出そうというわけです。
ブレインライティング
沈黙のブレインストーミングと言われる発想法。集団でおこないますが、最初は黙っておこないます。話すのが苦手な人が多い場合や、自分一人で話し続ける人がいる場合におこなうと、普通にブレインストーミングをおこなうよりも、たくさんのアイデアを生み出せることがあります。以下の手順でおこないます。
1.メンバーを6人集め(もっと大人数でもOK)、3x6マスのシートを用意します。
2.それぞれの人がテーマについて、3つのアイデアを書き込みます。制限時間は5分間。
3.書いたシートを隣の人に回し、6人すべてがアイデアを書く。
4.書き終わったら、各メンバーが良いアイデアを2、3点選んだ上で、全員で検討する
セブン・クロス法
ブレインストーミングの内容を整理する時に便利な手法。次の手順で、7×7のマトリックスをつくって整理することで、アイデアが一覧できます。また、7×7のマトリックスシートを用意し、一番上に課題を7つ書いて、下にアイデアを貼り付ける方法もあります。
1 ブレインストーミングなどで出てきた意見を小さなカードに書く
2 1で書いたカードを7つの項目に分類する。
3 7つの項目を重要度の高い順に左から右へ並べていく
4 カードを重要度の高いものから縦に並べていく。縦に並べるカードは7つ。こうすることで、7×7のマトリックスに整理できる。
PREP法
PREPは、「Point(ポイント)」「Reason(理由)」「Example(事例)」「Point(ポイント)」 の頭文字。
もともとは論理的に話すための手法です。思いついたアイデアを次の順で文章にすることで、アイデアが具体化されます。
1.Point (アイデアのポイント)
2.Reason (そのアイデアがなぜ良いのか、理由)
3.Example (アイデアの具体例)
4.Point (アイデアのポイントを別の言葉で言い換える)
希望点列挙法と欠点列挙法
ブレインストーミングの方法の一つとして、覚えておくと良いのが、希望点列挙法と欠点列挙法です。
基本的な手順は同じ。希望点は希望や願望を元に発想するのに対し、欠点は現状の問題点や不満などを元に発想します。
1.テーマについて「こうなったら良いな」という希望や願望を出す(欠点列挙の場合は、欠点や問題点)。「批判をしない」など、ブレインストーミングの4つのルールを守る。
2.1で出した希望(あるいは欠点)のなかから一つを選び、それを解決する方法について、再びブレインストーミングをする。
特性列挙法
アメリカの大学教授であるロバート・クロフォードによって開発された発想法です。次の手順でおこないます。
1.対象のものを次の3つの特性に分解します。
・名詞的特性(名詞で表せる、モノの構成要素、材料、製法など)
・形容詞的特性(大きい・小さい、軽い・重い、細い・長い、色など)
・動詞的特性(モノの持っている機能の性質。切れる、はさむなど)
2.特性の問題点を出します。
たとえば、「大きい」という特性があったら、「重い」「かさばる」という問題点が出てきます。
3.その問題点を解決するアイデアを考えます。
「重い」という問題点があるなら、「軽量化する」「持ち運びやすいよう、車輪をつける」などが考えられるでしょう。
ゴードン法
アメリカのシンクタンクであるアーサー・リトル社のウィリアム・ゴードンによって考案された、ブレインストーミングの手法です。
ユニークなのは、リーダー以外は、テーマを知らない状態でブレインストーミングを行うこと。
最初に、リーダーが、テーマを抽象的なキーワードに落としこんで、メンバーに知らせます。
たとえば、収納家具なら「入れる」「しまう」などに落とし込み、メンバーに考えてもらいます。先入観にとらわれず、自由な発想をしてもらうことが狙いです。
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