宮本武蔵に学ぶ「目的達成のために守るべき9つのこと」
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「五輪書」の地の巻の最後の方に以下のような記述があります。これは兵法を学ぶ人が守るべき9つのこととして書かれていますが、武蔵の自分自身への戒めの言葉でもあったと思います。そして現代の私たちにも目的達成のために守るべき鋭いメッセージであるといえるでしょう。
「わが兵法(二天一流)を学ぶ人は、以下の9つのことを心掛けること。
(上 筆者意訳。下 原文の現代語)
1 邪悪な心を起こさず、正しい事を考える
よこしまになきことをおもう所
2 兵法の道は練習することにある
道の鍛錬する所
3 様々な芸に触れること
諸芸にさわる所
4 様々な職能の道を知ること
諸職の道を知る事
5 物ごとの利害や損失を見抜くこと
ものごとの損徳をわきまえる事
6 物ごとの本質を見極める眼力を持つこと
諸事、めききをし覚える事
7 目には見えないことも推理し、察知すること。
目に見えぬ所を悟ってしる事
8 小さな変化、動きを見逃さないこと
わずかなる事にも気をつける事
9 役に立たないことはやらない
役に立たぬことをせざる事
こうした事を心がけて、兵法の道を練習しなければならない。視野を広く待って物事の本質を見極められないと兵法の達人にはなれない。しかし、わが二天一流の兵法を学び、修得すれば、たった一人で二十人、三十人の敵にも負けないだけの力をつけられる。そのためにまずやるべきことは、以上の9つのことだ。
わが二天一流の兵法を極めようという気力を充実させて、真の兵法の道に励み、腕力で相手に打ち勝ち、眼力でも相手を圧倒し、さらなる練習を重ねる事で、全身を自由自在に動かすことができれば、肉体的にも相手を圧倒できるし、闘魂でも相手を負かせるはずだ。
手、目、体、心の心技体の全てで相手を圧倒すれば、負けることはないだろう。
(地の巻 筆者意訳)」
武蔵の9つの守るべきことが示唆すること
1 邪悪な心を起こさず、正しい事を考える
よこしまになき事とは、実直で正しい道を求めるということです。どうしても人間はやってはいけないと思いながらも安易な道の誘惑に負けてしまいがちです。儲かるから、とか選挙で票が増えるから、といった理由でつい道義上、倫理上問題があると知りながらも問題のある人や組織と付き合ってしまう危険があります。武蔵は常に正論、正義を胸に刻みながら学ぶことを説きます。
2 道の鍛錬するところ
日々練習を重ねて実践をすることが大切だということでしょう。実践あるのみ!
3 諸芸にさわる事
兵法のみならず他の芸にも触れることで広い視野を得ることができるということ。実際武蔵は水墨画でも一流の評価を受けています。最近日本でも「教養」の重要性が叫ばれていますが、様々な分野に触れることで多面的にものごとを判断することができるようになるということでしょう。
4 諸職の道を知る事
これも3と同様に兵法以外の道を学ぶことで広く視野を持てということです。
5 ものごとの損徳をわきまえること
損得ではなく損徳ですが同じことのようです。ものごとを感情ではなく客観的に見ろということでしょう。
6 諸事、メキキをし覚える事
目利(メキキ)すなわち洞察力を鍛えよということでしょう。
7 目に見えぬところを悟って知ること
表層的な現象だけでなくその背後にある本当のところを推測して理解することが大切です。
8 わずかなることにも気を付ける事
ほんの小さな現象も見逃さずに変化に気が付くことが大切です。未来を予測する方法としてドラッカーが言った「未来は既に起きている」に通じることと考えます。未来の萌芽はすでに存在しているのです。
9 役にたたぬことをせざること
無駄なことはするなということ。今でいえば目的以外のことはするな、効率化ということでしょう。試験に合格するのが目的であれば、それに役にたたないこと、たとえばテレビを見るとかそういうことは一切するなという教えだと考えられますね。
武蔵はそういう意味でかなり実利主義的だという批判もあるようですが、生死をかけて勝負に勝つということにはそのくらいの覚悟をしろ!ということだと思います。
胸に手をあてて考えたいと思います、、、
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