レッドブルは170カ国以上で販売されており、年間約79億本が売れているエナジードリンクです。このカフェイン入りの飲み物は、眠気を催す会社員やテスト勉強に追われる大学生に人気ですがMBAのマーケティング戦略の成功事例としても有名なケースです。
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創業者のチャーレー・ユーウィチャは後にタイで3番目に富裕な人物となりますが、タイ北部のパヤップ県の貧しい家庭に生まれました。両親は中国からの移民で、アヒルの飼育と果物の販売をしていました。貧しい環境で育ったチャーレーは、ほとんど教育を受けていません。子供の頃から両親の農場で手伝い、収入は僅かでした。のちに、より良い生活を求めてバンコクに移りました。
教育を受けていなかったため、生計を立てるためにいくつかの単純な仕事を転々としました。バス運転手、医薬品販売員を経験した後、自分の会社TC製薬工業を設立して、抗生物質と化粧品の製造・輸入を手掛けました。
当時のエナジードリンクは、ほとんどが不味く、医薬品特有の風味がありました。市場を牽引するリポビタンDも同じ問題を抱えていました。チャーレーはそれをビジネスチャンスと見なしました。問題解決型ですね! そして実際に何種類ものものを混ぜ合わせた結果、1976年にユニークなシロップを作ることに成功しました。それがクレーティンデーンです。クレーテインデーンはタイ語で赤い ガウル または 赤い雄牛を意味します。つまり、英語ではレッドブルです。ロゴの2頭の激しく突進する雄牛は力強さを、赤は忍耐力を、背景の太陽はエネルギーを表しています。
最初は薬局でしか売られておらず田舎の労働者向けの飲み物として販売されました。しかしタイ経済が工業化されるにつれ、クレーテインデーンの人気も高まっていきました。トラック運転手やタクシー運転手、工場や建設作業員が増えていき疲れ切った日雇い労働者や長距離トラック運転手のニーズにマッチしたのです。労働者階級に大人気となり、数年でタイ国内のトップエナジードリンクになりました。
地方へのマーケティング戦略を重視し無料サンプルをトラック運転手に配布して、地方に足がかりを築きました。さらにタイボクシングの後援やロゴを掲示することで、労働者階級のイメージを高める努力をしました。 1980年代にチャーレーは国際展開を始めシンガポール、香港へと展開します。
1982年、ある日欧州のオーストリアの営業マンであるディートリヒ・マテシッツがタイを訪れ、クレーテインデーンを飲んだところ時差ボケ解消効果に驚き、すっかりはまってしまいました。
ディートリヒは1944年5月20日、オーストリアの小さな村サンクト・マーテンで生まれました。化粧品やシャンプーの販売・マーケティングで実績のあるP&G社のベテラン営業マンでした。出張で香港にいたときに新聞で、リポビタンDの大正製薬の上原社長が日本の長者番付納税額で1位と書かれた記事を目にします。マーケティングの才能あるディートリヒは、これはビジネスチャンスだと直感しました。確かに上原さんずっと長者番付1位でしたね!!
アジアでこれほどエナジードリンクが成功していることを知り、西欧に持ち込めば大当たりすると確信したのです。そしてすぐに仕事を辞め、チャーレーの元を訪ねました。
スゴイ決断力と行動力ですね!
当初チャーレーは渋っていましたが、ディートリヒに説得されるうちに1984年、それぞれ50万ドルを投じて共同出資の会社「レッドブル」が設立されました。
しかし発売前の評判は悪いものでした「味が最悪、口の中がねばねばするとかレッドブルは失敗する、健康に良くない、ロゴやブランド名も受け入れがたいなどと市場調査の結果も芳しくありませんでした。しかしディートリヒは自分の直感を信じました。
その後3年をかけて、西欧の人の口に合うよう飲料を改良し、マーケティング戦略を磨き上げていきました。具体的には炭酸入りにし、ボトル入りをやめてスリムな銀色の缶に変更しました。そしてついに1987年にレッドブルが発売されました。
1年後の1988年にはすでに120万ケースを売り上げる大ヒット商品となっていました。疲れた会社員や受験生にまで広がりました。そしてチャーレーとディートリヒを億万長者に導きました。
調査やデータは大切ですが、自分の直観を信じることも大切なのです。
レッドブルの成功の多くは、革新的なマーケティング戦略によるものです。新しい製品には全く新しいアプローチが必要だと気づいたのです。そこでディートリヒは、チャーレーの戦略を真似することにしました。つまり、ビジネスと自身の情熱を組み合わせることです。
ディートリヒは昔から過激なスポーツが大好きでした。当時、大企業はそうしたイベントを後援していませんでした。そのため中小企業でも主導権を握ることで、確実に目立つことができるはずだと考えました。そこから、マイナーで過激なスポーツがレッドブルの新しい焦点となりました。特に、アドレナリンを掻き立てるようなスポーツです。いくつかの理由がありました。ブランドが際立つこと、一般のスポーツイベントのように莫大な広告費を払う必要がないこと。しかし最も重要なのは、過激なスポーツと手を組むことで、レッドブルは単なるエナジードリンクではなく、”クール”なライフスタイルそのものであることをアピールできたということです。以降、2頭の赤い雄牛のロゴは、過激なスポーツイベントに欠かせない存在となりました。少しずつレッドブルは、アドレナリン、エネルギー、冒険といった言葉と同義語になっていきました。フォーミュラ1、サッカー、スノーボード、マウンテンバイクなど、レッドブルが関わっていないスリリングなスポーツはありません。
製品の売り込みではなく、ある種の”感情”を売り込むことで、ターゲット層の心に確実に食い込んでいったのです。設立当初、このようなクリエイティブなマーケティング手法は全く新しいものでした。しかしその大胆さが両創業者を億万長者へと導いたのです。
チャーレーが2012年に亡くなった際、資産は約50億ドルと推定され、タイで3番目に富裕な人物でした。一方のディートリヒは、約136億ドルの資産を持ち、オーストリアで最も富裕な人物となっています。2022年10月22日膵臓がんで78歳で亡くなりました。
チャーレー死去後も、レッドブルは好調を維持しています。2014年の訴訟すら、ブランドの躍進を止められませんでした。それまでレッドブルは、1本にコーヒー1杯分のカフェイン入りと主張してきました。しかし、この主張に疑問を呈したアメリカ人により、訴訟に発展します。レッドブルは2002年から2014年にかけて飲んだ全米消費者に対して補償金を支払うよう命じられました。
しかし今でもレッドブルは世界で最も売れているエナジードリンクです
直観と行動力そして斬新なマーケティング戦略が成功の秘訣だと言えるでしょう!
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