セブンイレブンは、2024年3~5月期の営業収益が前年比1.8%減、営業利益が前年比4.4%減と「減収減益」となっています。セブンイレブンが3カ月連続で既存店売上高が減少していること、全店平均日販も減少していること、そして国内コンビニエンスストア事業全体でも減収減益となっていることがわかります。特に、競合他社が増収を続ける中でセブンイレブンだけが減収となっている点が注目されています。セブンイレブンの拡大を牽引してきた北米コンビニ事業の不振などがあります。
コンビニ事業であるセブンを運営しているのは「セブン&アイ・ホールディングス」でスーパーマーケットのイトーヨーカドーやヨークベニマル、外食のデニーズ、生活雑貨のロフト、赤ちゃん本舗など、さまざまな事業を展開しています。
カナダのGSやコンビニの大手アリマンタシュオン・クシュタールからの買収提案を受けたことはニュースになりましたね!そして中間持株会社を設立し、主力のコンビニ以外の事業と切り分ける方針を発表しコンビニ事業に集中するためHDは「セブンイレブンコーポレーション」と名称変更する予定です。すでに百貨店のそごう・西武をアメリカの投資ファンドフォートレス・インベストメント・グループに売却しましたし、ヨーカドーは閉店、ネットスーパーも撤退予定とのことです。
一体どうしてしまったのでしょうか????そもそも拙著でも述べているとおりセブンイレブンの成功の要因としては、ドミナント戦略、POSシステムや共同配送、自社PBブランド商品の導入などが挙げられますが時代とともに変化してきており栄枯盛衰!本記事ではセブンイレブンの不調についてまとめてみました!
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市場環境の変化への対応遅れ
- 競争激化と市場飽和:コンビニ市場が飽和状態にある中、ファミリーマートやローソンなどの競合他社が積極的な店舗展開や商品開発を行っており、セブンイレブンの独自性が薄れつつあります。
- 消費者ニーズへの対応不足:健康志向や環境への配慮など、変化する消費者ニーズに対して迅速な対応ができていない可能性があります。
デジタル戦略の遅れ
- デジタル化への遅れ:キャッシュレス決済やスマートフォンアプリを活用した販促など、デジタル技術の導入において競合他社に後れを取っています。
- セキュリティ問題:「7pay」サービスの不正アクセス問題など、デジタルサービスのセキュリティ面での課題が露呈し、消費者の信頼を損なった可能性があります。
運営体制の問題
- フランチャイズシステムの課題:24時間営業の義務化や高額なロイヤリティなど、加盟店オーナーの負担が大きいという指摘があり、これが店舗運営の質の低下につながっている可能性があります。
- システムリスク管理体制の不備:7payの事例では、システム全体の最適化や相互検証、相互牽制の仕組みが十分に機能していなかったことが指摘されています。
業績の具体的な数字
- 既存店売上高の減少:2024年6〜8月度の月次業績データでは、セブンイレブンの既存店売上高が3カ月連続で前年同月比マイナスとなっています。具体的には、6月度が0.5%減、7月度が0.6%減、8月度が0.2%減となっています。
- 全店平均日販の低下:2024年3〜5月期の全店平均日販は67万9000円と、前年同期比で3000円減少しています。
これらの要因が複合的に作用し、セブンイレブンの業績不振につながっていると考えられます。競合他社が増収を続ける中、セブンイレブンだけが「独り負け」の状況に陥っており、早急な対策が求められています。
セブンイレブンの売上減少に関する具体的なデータは以下の通りです:
既存店売上高の推移:
- 2024年6月度: 前年同月比0.5%減
- 2024年7月度: 前年同月比0.6%減
- 2024年8月度: 前年同月比0.2%減
全店平均日販:
- 2024年3〜5月期: 67万9000円(前年同期比3000円減)
2024年8月度の詳細データ:
- 既存店売上高: 0.2%減
- 客数: 0.7%減
- 客単価: 0.5%増
- 全店売上高: 0.8%増
これらのデータから、セブンイレブンが3カ月連続で既存店売上高が減少していること、全店平均日販も減少していること、そして国内コンビニエンスストア事業全体でも減収減益となっていることがわかります。特に、競合他社が増収を続ける中でセブンイレブンだけが減収となっている点が注目されています。
セブンイレブンの業績不振の真相と今後の展望
セブンイレブンは長年、日本のコンビニエンスストア業界をリードしてきた巨人ですが、近年その勢いに陰りが見え始めています。かつては「常に進化し続けるコンビニ」として消費者から絶大な支持を得ていたセブンイレブンですが、なぜ今、苦戦を強いられているのでしょうか。本記事では、セブンイレブンが直面している課題と、その背景にある要因を詳しく分析していきます。
業績不振の主な要因
1. 市場の飽和と競争激化
セブンイレブンの不調の最大の要因は、コンビニ市場の飽和と競争の激化です。日本国内のコンビニ店舗数は2022年時点で約5万6000店舗に達し、人口減少が進む中で、これ以上の出店余地は限られています。さらに、ファミリーマートやローソンなどの競合他社が積極的な店舗展開や商品開発を行っており、セブンイレブンの独自性が薄れつつあります。
2. 消費者ニーズの変化への対応遅れ
近年、健康志向や環境への配慮など、消費者のニーズが急速に変化しています。しかし、セブンイレブンはこれらの変化に対して迅速な対応ができていないという指摘があります。例えば、プラスチック削減や食品ロス対策などの環境施策において、他社に後れを取っている面があります。
3. デジタル化への遅れ
キャッシュレス決済やスマートフォンアプリを活用した販促など、デジタル技術の導入においても、セブンイレブンは競合他社に遅れを取っています。特に、コロナ禍でデジタル化の重要性が高まる中、この遅れが業績に影響を与えている可能性があります。
4. フランチャイズシステムの問題
セブンイレブンのフランチャイズシステムに対する批判も、業績不振の一因となっています。24時間営業の義務化や高額なロイヤリティなど、加盟店オーナーの負担が大きいという指摘があり、これが店舗運営の質の低下につながっているという見方もあります。
改善に向けた取り組みと今後の展望
セブンイレブンも、これらの課題に対して様々な対策を講じ始めています。
新たな商品戦略
健康志向の高まりに対応し、低カロリー商品や野菜を使用した商品の開発に注力しています。また、地域の特産品を活用した商品開発など、地域密着型の戦略も強化しています。
デジタル化の推進
キャッシュレス決済の拡充や、自社アプリの機能強化を進めています。また、データ分析を活用した商品開発や在庫管理の最適化にも取り組んでいます。
フランチャイズシステムの見直し
24時間営業の義務化を緩和し、加盟店オーナーの労働環境改善に向けた取り組みを始めています。また、ロイヤリティ体系の見直しも検討されています。
新規事業への挑戦
従来のコンビニ事業の枠を超えた新規事業への挑戦も始まっています。例えば、高齢者向けの宅配サービスや、地域の生活インフラとしての機能強化などが挙げられます。
今後の展望
セブンイレブンの業績回復には、これらの取り組みを着実に実行し、成果を上げていくことが不可欠です。特に重要なのは、以下の3点です:
- 消費者ニーズの変化への迅速な対応:健康、環境、利便性など、多様化する消費者ニーズに柔軟かつ迅速に対応する商品・サービス開発が求められます。
- デジタル技術の積極的活用:データ分析やAIを活用した店舗運営の効率化、顧客体験の向上が重要です。
- 加盟店との関係性強化:フランチャイズシステムの改革を通じて、加盟店オーナーとの信頼関係を再構築し、店舗運営の質を向上させることが必要です。
セブンイレブンは依然として強大なブランド力と店舗網を持っています。これらの資産を活かしつつ、時代の変化に適応していくことができれば、業績回復の道は十分に開かれているといえるでしょう。
コンビニエンスストア業界は今後も大きな変革が予想されます。セブンイレブンがこの変革をリードし、再び業界の牽引役となれるかどうか、今後の動向に注目が集まります。
PB商品
筆者はプライベートブランド(PB)ばかりでつまらなくなって行かなくなったくちなのですが、、、セブンイレブンのプライベートブランド(PB)商品「セブンプレミアム」の売れ行きは好調です。具体的には以下のような状況が見られます:
- 累計売上高の急成長:
セブンプレミアムの累計売上高が2023年度に15兆円を突破しました。2007年の販売開始から17年で達成した大きな節目です。 - 年間売上高の拡大:
2023年度の売上高は1兆4500億円に達し、前年度比5%増となっています。2024年度はさらに500億円増の1兆5000億円を目指しています。 - 商品数の拡大:
2007年の発売当初は49アイテムでしたが、2024年2月末時点で約3400アイテムまで拡大しています[。食品だけでなく、日用品や衣料品なども含まれるようになりました。 - ヒット商品の誕生:
2023年度に最も売れた商品は「蒙古タンメン中本 辛旨味噌」というカップ麺で、人気ラーメン店とのコラボ商品です。 - 高額商品の増加:
セブンプレミアムは低価格帯(150円未満)の商品を減らし、高価格帯の商品を増やす傾向にあります。これは品質重視の戦略を示しています。
一方で、「PB商品ばかりで買い物がつまらない」という声に関しては、以下のような対策を行っています:
- 多様なブランド展開:
基幹ブランドの「セブンプレミアム」に加え、高価格帯の「セブンプレミアム ゴールド」や低価格帯の「セブン・ザ・プライス」など、多様な価格帯と品質のPBを展開しています[。 - 品質とオリジナリティの追求:
「お客様の日常の食卓をより豊かに・楽しく・便利に」をキーワードに、顧客ニーズに応じた商品開発を進めています。 - 既存商品のリニューアル:
2023年度には年間販売金額が10億円以上の商品が300アイテムを突破するなど、既存商品の改良にも注力しています。 - 外部ブランドとのコラボレーション:
「蒙古タンメン中本」のような人気店とのコラボ商品を展開し、バラエティを増やしています。
これらの取り組みにより、セブンイレブンはPB商品の魅力を高めつつ、商品ラインナップの多様性も維持しようとしています。ただし、PB商品の比率が高まることで、店舗の個性が失われる可能性もあるため、今後もバランスの取れた商品展開が求められるでしょう。
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