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金融工学 financial engineering
金融工学とは資産運用について、1950年代から米国で発達した確率や統計などの数学的手法を駆使してリスクを回避し、効率的なリターンを得ようとする学問です。
スワップ・オプション・デリバティブなどがあります。
注意が必要なのは、リスクという言葉の意味です。
日常の生活においてリスクというと危険という意味で使いますが、金融の世界では将来のリターン(収益)が不確実であることの変動幅のことを意味します。この変動幅のことをボラティリティと呼ぶことも多いので覚えておきましょう。
しがって、リスクといった場合には損失だけでなく利益の場合も含みます。つまり損益の変動幅が小さければ「リスクが低い」、変動場が大きければ「リスクが高い」と言います。
「ブラック・ショールズ・マートンの方程式」は、1973年にアメリカのフィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズが日本の数学者伊藤清の確率微分方程式の理論を元に考案したデリバティブの価格付け理論です。その後ロバート・マートンによって証明され、1997年にマイロン・ショールズとロバート・マートンはノーベル経済学賞を受賞しました。残念ながらフィッシャー・ブラックは1995年に亡くなったため受賞できませんでした。
この理論によって、金融派生商品(デリバティブ)の価格計算が簡単になり金融工学が発展しました。
しかし、アジア通貨危機、ロシアのデフォルト(破綻)により、1998年には、ノーベル賞を受賞した二人が設立に加わったアメリカのヘッジファンド、ロングターム・キャピタル・マネジメントが破綻し世界中に衝撃を与えました。その後金融工学を駆使して開発されたサブプライム住宅ローン商品が2008年のリーマンショックと言われる世界金融危機の引き金になるなど、リスク回避の手段としてだけではなく投機的な側面もあることを印象付けてしまいました。
しかし現在金融の世界ではデリバティブ商品は益々広がってきておりしっかりとその仕組みやリスクを理解することが大切です。
なお古くは江戸時代の日本の大坂・堂島でコメの先物取引の一種が行われていたと言われており、考え方として古くから存在していたと言えるでしょう。
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