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事業の値段を算定するための企業価値算定方法について簡単に説明します。
小生は興銀マン時代にはプロジェクトファイナンスや国際金融を10年以上担当していましたのでまさに専門的に行っていました。
算定する方法は大きくわけて3つあり、通常は複数の方式を併用して決めます。
貸借対照表すなわちバランスシートを基に算定する方法で、純資産方式と時価純資産方式があります。
純資産方式とはたとえば土地などを資産として持っている会社の場合には帳簿上は取得時の価格で計上しています。その後時間が経過している間に土地の価格は上昇している場合でも帳簿上はそのまま取得時の価格のままです。
純資産方式とは、帳簿上の数字でバランスシートを作成し、その資産から負債を差し引いた純資産(資本)の金額を時価総額とします。
現時点での保有資産を時価で再評価し、時価で評価したバランスシートを作成し、その資産から負債を差し引いた時価の純資産(資本)の金額を時価総額とします。
なお時価総額にさらに借入金・社債などの負債を加えたものが企業価値となります。
(2)類似会社比較方式・類似取引比較方式類似会社比較方式は、事業内容や規模が類似している上場企業の財務データと株価との比率をもとに評価する方法です。
具体的には、株価が利益の何倍か?を表わす指標であるPER(Price Earning Ratio:株価利益倍率)をもとに計算する方法が一般的です。
この株価に発行済株式数をかけると時価総額となります。さらに借入金や社債などの負債金額を加えたものが企業価値となります。
類似取引比較方式は類似会社の取引実例におけるPERなどの数値を基に計算する方法です。
しかし全く同一の事業を行っている他社は存在しませんし、類似会社取引も個別の要因が反映されてしまっている可能性もあるため、あくまでも比較として算定するものであることに注意が必要です。
もっとも一般的に採用される方式で、通常は5年間程度の事業が将来生み出すフリーキャッシュフローを予測してそれを期待収益率で現在価値に割り引いて算定する方式です。難しそうに見えますがExcelを使えば誰でも計算できますので安心してください。
現実には5年先の予測は難しいことから、楽観シナリオ、ベースシナリオ、悲観シナリオといった3つを作成することが一般的です。なお実際の現場では(2)の方法とDCF法で数値を算定してその金額のレンジ(範囲)の中で売却先と合意する数値を採用します。
数字は前提となる割引率などを変えれば大きく結果が変わることに注意が必要でしょう。
フリー・キャッシュフロー(Free Cash Flow:FCF)とは
DCF法とはあなたの会社が今後どのくらいのキャッシュを生み出すのかに基づいて会社の価値を決めるためのルールですが通常フリー・キャッシュフロー(Free Cash Flow:FCF)という数字を使います。これは会社が営業活動で稼いだキャッシュから、現在の事業を維持するために投資しなくてはならない資金などを差し引いたもので会社が自由に使える資金であることからフリー・キャッシュフローと呼ばれています。
注意が必要なのは会計学上のキャッシュフロー計算書とは別の概念だということです。
FCF は損益計算書における営業利益をベースとして実際には会社からキャッシュが出て行っていないのに損益計算書上は引かれてしまう項目や、逆にキャッシュが実際には出て行ってしまっているのに損益計算書上は引かれていない項目なども修正することで求める必要があります。
会計上、たとえば資産を購入すると減価償却を行います。簡単な例で言えば200万円でクルマを購入した場合には実際にはディーラーなどに200万円を支払いますから会社のキャッシュは減少します。しかし会計上はそのクルマは5年間使うのであれば5年間効用があるので費用に計上するのは一年分だけにする、という減価償却という考え方があります。
そこでたとえば毎年40万円ずつ費用に計上しなさい、となった場合には40万円だけが毎年費用として引かれることになります。すると利益はその分大きくなるわけです。実際には一年目にすでにキャッシュは200万円会社の外に出て行ってしまっています。実際のキャッシュと同じにするには減価償却費分を修正しなければ同じになりません。
このように損益計算書と実際のキャッシュの額の違いを修正するためにいくつかの項目を修正する必要があるのです。
フリーキャッシュフローの計算式は
FCF=税引き後営業利益プラス減価償却費マイナス正味運転資本増加額マイナス設備投資 となります。
ちょっと難しいですが要するに「実際に会社が自由に使えるキャッシュの数字を損益計算書を基に算定する必要がある」と理解しておいていただければよいでしょう。
M&Aなどでの算定根拠として活用されますが大切なことは売主買主が双方が合理的に合意することが何よりも重要だということです。算定方式は目安に過ぎません。
実務上は、どうしてもその会社が戦略上必要であり将来価値増大することが可能であればかなり高くても合意することはあります。問題は買主の株主に対して納得ある説明ができるかどうか、ということになるでしょう。
さらに詳しくはこちらの用語集でも説明しておりますのでチェックしてみてください!
【決定版】企業価値算定DCF法 CAPM ベータ値とは https://www.carlbusinessschool.com/knowledge-base/dcf-capm/
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