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デリバティブ derivative
デリバティブは、一般に「金融派生商品」又は「派生商品」と訳されます。
これは様々な金融商品のリスクを軽減する(リスクヘッジ)ためや、逆にリスクを取って投機的に収益追求を行う(スペキュレーション)のための商品です。市場価値と比較して割高もしくは割安の金融商品を売買することにより利益を得る目的でのアービトラージ(裁定取引)としても利用されます。
元になっている金融商品のことを「原資産」と呼びます。
デリバティブの取引には、主に先物取引、オプション取引、スワップ取引の3種類があります。
すなわち、対象となる金融商品について、将来の売買を事前に約束する取引(先物取引)や将来売買する権利を事前に売買する取引(オプション取引)、将来発生する利息を交換する取引(スワップ)、さらにこれらを組み合わせた先物オプション、スワップションなど多種多様な取引があります。
先物取引は将来の売買について現時点で約束する取引です。
将来値下がりする恐れがある金融商品を現時点で売買価格を決めておく約束をすることで、値下がりのリスクをヘッジする(売りヘッジ)ことや、将来値上がりする可能性がある商品を現時点で価格を決めて買う約束をすることで値上がりリスクをヘッジ(買いヘッジ)することができるのです。
このようにヘッジは将来の不確実性を排除しようとする行為ですから、価格が将来予想と逆に動いたとしても、価格や取引を事前に確定できた、という点でヘッジは有効に働いたと考えるのです。実際に損だったか得だったかは関係ありませんので注意が必要です。
以下のような用語があります。
受渡し決済
満期、限月(受渡し決済日)に約束した価格で対象である原資産の授受を行う決済方法
満期・限月(げんげつ)
受け渡し決済期日のことで同じ意味
なお満期までの間に反対売買をすれば、取引は終了し受け渡しはしません(取引所で行われる先物取引特有の制度)
反対売買
当初約束した取引と反対の取引を行なうこと
差額決済(差金決済)
買値と売値の差額の受け渡しによって決済する方法
証拠金制度
先物取引やオプション取引(コールもプットも売りの場合)には証拠金の納付が必要
次に先物取引での損益はどのようになるか考えてみましょう。
先物取引で発生する損益 Profit and Loss due to Future transction
前提として以下の二つを仮定します。すなわち、
先物取引での買い手は、満期日に、約束どおり商品を買った場合は、その商品をすぐに市場で売るとします
先物取引の売り手は、満期日に、約束どおり商品を売るために商品を市場から購入する というものです。
この場合の損益は、満期日における、その商品の市場価格と当初の約束の価格の差額となります。
先物取引での買い手は、満期日の市場価格(例えば100万円)が約束の価格(例えば80万円)よりも値上がりすれば、80万円で買ってすぐに市場で100万円で売れば20万円の利益が得られます。逆に市場価格が60万円に下落していたら20万円の損が発生します。
先物取引での売り手は、、満期日の市場価格(例えば60万円)が約束の価格(例えば80万円)より値下がりしていれば、先物の実行により約束した価格よりも安い価格(60万円)で市場から調達でき、差額(20万円)が利益になります。
逆に市場価格の方が高くなると、損失が発生します。
これらの場合の先物取引の損益を図にしたものをペイオフ・ダイアグラムと呼びます。
右上がりの線が先物の買い手の損益、右下がりの線が売り手の損益を示しています。
先物取引は、取引所で取引される上場取引であるため、取引条件が定型化されており、決済期日前に転売や買い戻しを行って決済できる差額決済が原則、証拠金制度といわれる担保のような資金が必要になり、取引の履行を担保している等の特徴があります。
為替予約(将来の外国通貨の外国為替換算レートを現在決める取引)、商品先物(貴金属(金、プラチナ等)、穀物(小麦・大豆等)などの商品相場の価格を現在決める取引)、デュアル・カレンシー債(当初の債券購入代金の払い込みと途中の利払いが円建てで償還元本が外貨建ての債券)などがあります。
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